百薬の...

俳優の三船敏郎は国際的名声に似合わず、非常に腰が低くきれい好きな人だったそうで、三船プロへ新入社員が朝出向いた時事務所には掃除のおじさんが一人だけだと思っていたら、社長(三船)その人だったという逸話もあるそうです。

 国際的人気という点では戦前の早川雪舟には及ばないかも知れませんが、世界中の映画人から尊敬と言う点では今のハリウッドで活躍中の渡辺謙や真田広之も遠く及ばないと聞きます。

 その三船敏郎の欠点が「酒癖」だったそうで、酔ってオープンカーの外車に日本刀を携えて黒澤明の家まで乗り付けて、周りを徘徊しながら大声で騒いだという、日頃の物腰の低さからは想像もつかない酒癖の悪さだったそうです。 

 私の実家は飲食店をやっていたのですが、小さい頃はともかく長じてくると店の手伝いなんかもやっていたのですが幸いにもうちのお客さんには酒癖の悪い人はいませんでした。実家を離れて進学、就職した後も30になる迄「酒癖が悪い人」にあたったことがありませんでした。

 初めてあたった酒癖が悪い奴は部下でした。騒ぐことはなかったのですが、兎に角粗暴になる。喧嘩を吹っ掛けるということではないんですが、行動が荒っぽく人でも物でもお構いなしにぶつかったり、扱いが雑だったり。 彼の行状を見るに早晩面倒になるなと思ったので、宴会の翌日彼を呼び出して「酒をやめるか、ここを辞めるかどっちか選べ」と迫りました(今ならパワハラでアウトかも)。

 彼は酒を控えることを選んだのですが、さして日もたたないうちに別の理由で辞めていきました。後日再就職した先の宴会で同席した医師をカンカンに怒らせたらしく、酒席出入り禁止になったと聞きました。

 酒癖の悪さというのは、酒量とも酩酊具合とも直接には関係ないようですが、私個人的には酒のせいとは言いながら「性格」じゃないかと思っています。

 酒癖ではなく健康のために考えると酒量はどれくらいがいいのか。 

今年に入って厚労省は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)」と言うのを発表しました。

 ガイドラインでは飲酒の量ではなく酒に含まれる純アルコールの量から考えるべきとなっています。 生活習慣病の発症リスクが高まるのは1日当たり男性で40g、女性で20g以上だとされています。 

量(g)=酒量(ml)×アルコール度数(%)×アルコール比重(0.8)

 例えば350ml、度数5%の缶ビールで考えると

350(ml)×0.05×0.8=14(g)となります。 

これが500mlのロング缶だと

 500(ml)×0.05×0.8=20(g)

 350ml、度数7%の缶チューハイだと 

350(ml)×0.07×0.8=19.6(g) 

 気をつけなければならないのはガイドラインには生活習慣病の発症リスクが高まるのは男性で40g、女性で20g以上とされていますが、いろんなデータを渉猟してみると男女関係なく1日当たり20g以下の摂取量だと死亡率が一番低いとなっていました。

しかも摂取量がゼロでも摂取量20g以下の人より死亡率が高いとされていました(勿論病気によってはわずかでも摂取すれば発症リスクが高まるということもあります)。 

 ここでも注意してほしいのは、生活習慣病の発症リスクと死亡率は別物と言うことです。死亡率は低いけど発症リスクは高いよでは健康と言う観点からは意味ないですし。 発症リスク低いけど、当たれば死ぬよでも嫌だろうし(個人的にはこちらの方がいいですけど、人によりますよね) 

 病気にもよると書きましたが、脳出血だと女性の場合わずかでも摂取すれば発症リスクは高まりますが、ポリフェノールが多く含まれるワインを摂取すると同じ脳卒中でも脳梗塞の発症リスクは抑えられるそうです。 

 結局百薬の長とは言っても飲みすぎは駄目ということらしいので、純アルコール摂取量は1日当たり20g以下が無難なようです。 人によっては物足りないんでしょうけど、自分の健康のためですし、酒癖が悪い人は周囲の人のことも考えて控えてほしいものです。 

私は30前に胃の調子が悪くなってから月に缶ビールか缶酎ハイを2本ほどしか飲んでません。嫁さんは酒が全くダメなんですが、どういうわけか酒粕をオーブントースターで焼いて(多分アルコールは殆ど飛んでるでしょうけど)たまに食べてるので良しとしときます。

大原健幸の郷